お知らせ
2020年2月8日
本は人を表す
空気はまだ冷たいけれど、いつもの桜並木の一本に手を伸ばしてみると、木肌がほんのりあたたかい。再び春が巡ってきました。
さて、立春に合わせて二冊の句集が刊行となりました。
木暮陶句郎さんの『陶冶』と、杉山加織さんの『ゼロ・ポイント』です。
陶句郎さんといえば、よく知られる通り、伊香保焼を主宰する陶芸家。(なんでも、伊香保焼を名乗れるのは、今の日本で陶句郎さんのみとか。この辺、奥が深そうです)
句集『陶冶』の表紙は、その伊香保焼の茶盌の絵柄を用いてデザインしたもので、
著者名の赤は「火」をイメージした、こだわりの色なのです。
もとは「ホトトギス」の野分会で稲畑汀子師に鍛えられ、入門から瞬く間に日本伝統協会賞、花鳥諷詠賞を受賞した陶句郎さん。
16年半ぶりの句集となる 『陶冶』は「ひろそ火」を創刊する前の約8年間の俳句を収めた第二句集で、今年注目の一冊となりそうです。
一方、加織さんの句集『ゼロ・ポイント』は生命の起源をイメージした宇宙的広がりのある一冊。10章から成る本書は、実に自在で、繊細な内面をさらけ出し、素直に季題に託した初句集です。
師弟でありパートナーでもあるお二人は、 とにかく決断が早く、何事にもポジティブ。
2冊を編んでいた約3ヶ月間、事あるごとにプラスのオーラをいただけた気がします。
ところで『陶冶』と『ゼロ・ポイント』を並べた写真、どことなくお二人のツーショットに似ていませんか? 本は人を表す、とつくづく思うこの頃です。