朔の本

斎藤信義句集『雪晴風』(ゆきはらし)
第33回北海道新聞 俳句賞 受賞!

発行:2018年5月15日
帯文:仲 寒蟬
装丁:永石勝/トリプルオー
四六判ソフトカバー 192頁
2750円(税込)
ISBN:978-4-908978-13-5 C0092


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「ゆきはらし」が吹くころ、北国に春が訪れる。

雪または吹雪が止んだ後、からりと晴れて太陽が照っていながら強い風が吹くことがあり、それを「雪晴風」という。早春近くにみられる北方季語である。

北海道の長く厳しい冬に耐えた大地に、春、雪解けとともに一斉に花が開く。

北国の四季と、そこに暮らす人々の営みを鮮やかに切り取った秀作。


◆帯文より

うつすらと昼の月ある雪晴風 

帰り着いたのは一年の半分が雪で覆われる北の大地、旭川。
ひとしきり雪が降れば小さな日が顔を出し風が吹く。
それを「雪晴風」と言う。
斎藤さんの俳句は乾いた雪を舞い上がらせる雪晴風のごとく眼前の景の向こうに息づく生命までを見通して揺るがない。
(仲 寒蟬)


◆作品抄15句

火と水のにほひがかはる大旦
明け方の天女が原の淑気かな
肝に沁むほどの眩しさ雪晴風
クリオネといふ流氷の雫かな
キリストの肋骨がごと冴返る
空のいろ水のいろ蝦夷延胡策
葉は翅のごとく添ふ蝦夷山櫻
星屑も花屑も浮くにはたづみ
くちなはが戦場のごと屯せる
平成の玉音もまた日のさかり
生身とは濡れてゐること露葎
色のなき風のなかなる淋派展
雪晴れやアイヌコタンの空舟


<著者略歴>
昭和11年、北海道増毛町生まれ。
昭和40年「菜殻火」入会、野見山朱鳥に師事。
昭和57年上田五千石主宰「畦」同人。
「松の花」を経て、現在「月の匣」同人、「俳句寺子屋」塾主宰。
俳人協会会員。

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