朔の本

佐竹伸一句集『山峡』(やまかい)

発行:2025年4月1日
序文:高野ムツオ
カバー写真:著者
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判ソフトカバー 180頁 
定価:2420円(税込)
ISBN:978-4-908978-26-8 C0092


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教師として、登山家として、人と自然に向き合う著者の眼差しは、穏やかで時に鋭い。産土を愛し、多彩な表情をもつ句集『山峡』を、高野ムツオ氏は「その足元に築かれた、唯一無二の心のケルン」と言う。本書には亡き妻への思い、そして父とも慕った阿部宗一郎から受け継いだ精神が宿っている。

◆帯文より

根雪とは天から雪を招く雪

佐竹は、高度成長期に東北の片隅で生まれ育った世代ならではのあり方で、見捨てられつつある自然や人間の営みを正面から受け止め、その豊かさを愛し、衰退を悲しみ、怒り、格闘しながら俳句に刻んできたのであった。(高野ムツオ) 


◆高野ムツオ選10句

穭田の光の道を登校す
通る子のなき春休み道祖神
駆け足でついて来いよと春の水
芋の葉に露配られているところ
一斉に山の落葉が笑い出す
山峡は海溝であり冬の月
雪晴れの雪の大地が息をつく
氷結の空なり転げゆく冬日
放射線治療の妻の夏帽子
蘇り来よ稲妻の絶えぬ夜に


◆あとがきより

「一句は十七音のドラマであり、句集からは作者の感性や人となりや生き様が見えてこなければならない」は、「小熊座」同人であった阿部宗一郎の生前の口癖だったが、そのような句群は、むしろ省略の効いた無駄のない十七音からしか生まれてこない。寡黙は雄弁に勝るだが、そのような句をこの句集でいくつ残し得たかは誠に心許ないかぎりである。(佐竹伸一


<著者略歴>

佐竹伸一(さたけ しんいち)
昭和35 年 山形県朝日町生まれ
平成5年 「小熊座」入会
平成15 年 「小熊座」同人となり、現在に至る
平成16 年 山形県現代俳句協会入会、現在事務局長
平成16 年 現代俳句協会入会、現在評議員
[ 著作等]
『朝日連峰の四季』無明舎出版1996 年1 月刊
『真壁仁研究第6 号(特集:真壁仁と教育)』等に論考を寄せる

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