朔の本
句画集『つはぶき』
発行:2022年12月1日
序文:細谷喨々
アートディレクション:奥村靫正/TSTJ
デザイン:石井茄帆/TSTJ
A5判並製 オールカラー 224ページ
定価:2750円(税込)
978-4-908978-82-1 C0092
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母として、妻として家庭を守り、保健師として地域に根差し、時に走り、時に病と闘いながら丁寧な暮らしを重ねてきた著者。ふるさと山梨の自然に抱かれ、自選百句に絵とエッセーを添えて綴った豊かな日常が一冊に。
◆帯より
著者はご主人と三人の息子さんとの家庭を大切に切り盛りしながら、保健師さんとして定年の時を迎えられるまで地域住民の健康を守るお仕事をしてこられた。島谷征良に師事してからは句作も継続されている。これは並大抵のことではない。保健師さん、看護師さんと現場で一緒に働いてきた私は余計にその大変さが分かる。
(細谷喨々/小児科医・俳人)
◆作品抄10句
何故か子は乳房に触れて入学す
大佐渡も小佐渡も夏の霞かな
雲海のさらなる宙の星月夜
立春やがん迎へ討つ夫読書
たんぽぽの絮をひと吹き古希の友
茜雲引き寄せ暮るる二日富士
初桜武将に似せし双子の名
夫叙勲石蕗のまぶしき皇居かな
雉の声聞くたび絵筆止まりたり
冬夕日二人の影の脚長し
◆あとがきより
本書の題名を「つはぶき」としたのは、入退院を繰り返しながらも生還した夫を励ますかのように病院の庭に咲いていた石蕗にちなんだものである。夫の叙勲の時にも、夫婦ともども参内した皇居に咲いていた。石蕗の花言葉は「困難に負けない」である。この花を見るたびに、人生を振り返り、ある種の感慨を覚えるのである。(堤 郁子)
<著者略歴>
堤 郁子(つつみ いくこ)
1942年 山梨県生まれ。保健師。
1989年 俳誌「一葦」入会、島谷征良主宰に師事。