朔の本
池田澄子句集『月と書く』
第16回 小野市詩歌文学賞 受賞!
発行:2023年6月7日
装丁:水戸部功
四六判セミハード装 192頁
定価:2860円(税込)
ISBN:978-4-908978-93-7 C0092
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読売文学賞受賞『此処』から3年。その間、世界中で人が人に逢えなくなった。地球上では戦火が広がる。時に怒り絶望し、時に恥ずかし気に漂いながら、ありのままの心を映した332句。
口語を駆使した俳句で多くのファンを魅了する俳人・池田澄子の第八句集。
◆帯より
お久しぶり!と手を握ったわ過去の秋
逢いたい人に逢えて、
あぁ世の中に
戦争などない暮らしに
戻らないことには、
人心地がしない。
人類よ、地球を壊さないで、
と、またも心から、
どうしても思ってしまっている。(池田澄子)
◆作品12句抄
春寒き街を焼くとは人を焼く
焼き尽くさば消ゆる戦火や霾晦
蝶よ川の向こうの蝶は邪魔ですか
夕風や桜を見上げ合えば朋
鷹化して鳩となるなら我は樹に
葉桜の隙間隙間や光は愛
健やかなれ我を朋とす夜の蜘蛛
幸あれよ薔薇の葉裏に棲む虫も
水澄むと書くとワタクシ澄んでしまう
逢いたいと書いてはならぬ月と書く
狭霧隠れの家々人々亡き人々
風の便りと風聞草をこの世かな
<著者略歴>
池田澄子(いけだ すみこ)
1936 年 3 月 25 日、鎌倉に生まれ、多く新潟で育つ。
30 歳代後半に俳句に出会い、1975 年「群島」入会のち同人。主宰・堀井鶏逝去により「群島」終刊。
1983 年より三橋敏雄に私淑、のち師事。三橋敏雄の勧めで「俳句評論」入会、「面」句会に参加。高柳重信逝去により「俳句評論」終刊。その後、三橋敏雄指導「檣の会」に通う。
1988 年「未定」「船団」、1995 年「豈」に入会。
2001 年 12 月 1 日、三橋敏雄逝去。
2021 年、現代俳句大賞受賞。
現在、「豈」「トイ」同人。
句集に、『空の庭』(現代俳句協会賞)『いつしか人に生まれて』『ゆく船』『現代俳句文庫 29・池田澄子句集』『たましいの話』(宗左近俳句大賞)『拝復』『思ってます』『此処』(読売文学賞 詩歌俳句賞、俳句四季大賞)。
対談集に『金子兜太×池田澄子 兜太百句を読む』、散文集に『あさがや草紙』『休むに似たり』『シリーズ自句自解 1 ・ベスト100 池田澄子』『本当は逢いたし』『三橋敏雄の百句』などがある。