朔の本
塩見恵介句集『隣の駅が見える駅』
発行:2021年5月15日
アートディレクター:奥村靫正/TSTJ
デザイナー:石井茄帆/TSTJ
四六判並製 156頁
定価:1980円(税込)
ISBN:978-4-908978-62-3 C0092
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若手俳人の指導や新聞連載で活躍中の著者が、平成を駆け抜けた「船団」時代を総決算。言葉と格闘し、俳句を詠むことの多幸感に満ち溢れた第三句集!
◆あとがきより
いつも私は隣の駅を見て電車を待っている。
俳人たる者、季節の変わり目に敏感であるべきだけれど、私の場合は、初夏というよりは「惜春」を思いたいし、初秋の風を身に受けながらいつまでも「夏の果て」に心を寄せている。「紅葉」が見頃になるまでは身に冬を寄せ付けたくない。明るい春夏に自然と句が多く集まる作句傾向もこなれない感じだが、これが私の現状である。陰暦五月を他の月より飛び抜けて数多く描いた『枕草子』をひもといては、勇気づけられながら句をまとめた。ただ、桜や紅葉の句が少ないのは清少納言の四季感の影響ではなく偶々である。(塩見恵介)
◆自選12句
アウンサンスーチー女史的玉葱S
飛魚を鎖骨に飼っている女
バナナ売り今日はアンテナ売っている
守護霊がおられるのですビールに泡
大の字になって素足に風を聴く
蟬しぐれ友だち百人出来て邪魔
爽やかや象にまたがる股関節
月ノ出ルアッチガマンガミュージアム
ノーサイドきみは凩だったのか
牛乳のちょっと混じった雪女
蒲公英を咲かせて天と地の和解
燕来る隣の駅が見える駅
<著者略歴>
塩見恵介(しおみけ いすけ)
1971 年、大阪府生まれ。甲南大学大学院人文科学研究科(日本語日本文学専攻)修士課程修了。
1991 年、「船団の会」(代表・坪内稔典)入会。
2004 年、甲南高校文芸部を率いて俳句甲子園優勝。
2020 年、「船団」散在後、俳句グループ「まるたけ」を発足。
句集に『虹の種』『泉こぽ』、著書に『お手本は奥の細道 はじめて作る俳句教室 』『小学生のための俳句帖 読んでみよう編』『同 作ってみよう編』等がある。
現在、現代俳句協会会員。
甲南高校国語科教諭、同志社女子大学表象文化学部講師。京都芸術大学講師。
朝日小学生新聞「はじめて俳句 五・七・五」、毎日新聞「俳句てふてふ 注目の一句」を連載中。