朔の本

成田一子句集『トマトの花』

発行:2021年10月1日
装丁:奥村靫正/TSTJ
栞:辻桃子・高野ムツオ
四六判並製 140頁
定価:2420円(税込)
ISBN:978-4-908978-69-2 C0092


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俳壇で最も若い女性主宰による待望の第一句集!ヘヴィーメタルバンドのヴォーカルとして活躍する傍ら、「滝」二代目主宰として注目を集める著者。その詩才が花開く瞬間。

◆帯文より

 産風邪やトマトの花にトマトの香

あれだけ怖いと思っていた俳句の世界だが、最近は句を作っていると何か大きなものに包まれているような安心感を覚えるようになった。それは「怖い」を通り越した、「畏い」世界なのかもしれない。


◆栞より

 一子が驚くべき才能の持ち主だということは、その日からの一子を見ていて改めて驚愕した。やはり一子は初めから俳句の神の矢を受けていたのだ。一子のヘヴィメタルな一句一句が、「私・俳句・愛しているよ」「私・俳句に・愛されているよ」と読む者の胸に突き刺さってくるのだから。(辻 桃子

    *     *

 成田一子の句は大胆である。清々しいほど傍若無人である。例えば、句集名の元となった次の句を揚げれば誰もがそのことを納得するだろう。

 産風邪やトマトの花にトマトの香

(中略)言葉の鮮度が命のあり方をまず開示する。それに取り合わされる「トマトの花」もまた既成季語の情趣を拒絶して潔い。(高野ムツオ

 


◆自選10句

息つぎに太陽を飲む泳ぎかな
青林檎齧り猿からやり直す
風船を放し孤島にゐるごとし
黒猫にヨルと名付けて月を待つ
ゆつくりと卵にもどる日向ぼこ
貴婦人のびんたのやうに百合匂ふ
聖樹点灯たちまち凜凜と世界
海原に続いてゐたる初湯殿
ライブなき青水無月の野のしめり
髪洗ふならツンドラの森の水


<著者略歴>
成田一子(なりた いちこ) 
1970年、宮城県仙台市生まれ。2008年より句作開始。2010年、第3回芝不器男俳句新人賞大石悦子奨励賞。「滝」入会、菅原鬨也に師事。
2016年、菅原鬨也逝去により「滝」代表、2017年「滝」 主宰となる。
現在、日本伝統俳句協会理事、現代俳句協会会員。仙台リビング新聞社・ NHK学園通信講座等で俳句講師として活躍中。

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