朔の本
吉永興子句集『青のときめき』
発行:2022年9月22日
序文:今井聖
装丁:奥村靫正/TSTJ
四六判上製 208頁
定価:2970円(税込)
ISBN:978-4-908978-79-1 C0092
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感覚を研ぎ澄ませ、ユーモアから本格写生まで多彩な表現をみせる俳誌「街」同人の第三句集。
◆帯より
仏足石の指に滴り満ちにけり
仏足石は石に彫られた足だから指も石の上にある。当然ながら指の間に滴りが溜まる。それらは実に自然で言われてみるとその通りだが、誰も詠み得なかった景色である。それを「本格写生」と呼びたい。(今井聖)
◆今井聖抄出12句
鼻先を互ひの胸に春の象
男女とふ釦の位置のおぼろなる
どの子にも青のときめき入学期
温かきうどんに桜忘れたる
南極の石のこゑ聞く薄暑かな
白し白し吾に降りくる夏落葉
蜘蛛の囲の朱き一葉を掲げたる
新涼の畝立ての土やはらかし
鶏頭の角の焦げゆく朝かな
角切りの後でありけり鹿の貌
ふたり居て「街の灯」を観る冬隣
溜息に笑顔を乗せて年送る
◆あとがきより
私が「街」に入会して十一年が過ぎました。俳誌「街」には毎号今井先生の「街宣言」が掲載されています。誤解を恐れずに言うと、実はその意味するところが漸く理解できるようになってきたところです。無意識のうちにとり込んでいた枷が外れて自由になってゆくような、そんな感覚です。(吉永興子)
<著者略歴>
吉永興子(よしなが おきこ)
1935年9月、鹿児島県生まれ。
俳誌「人」を経て、2011年「街」入会、今井聖に師事。
2015年に第一句集『パンパスグラス』、2019年に第二句集『子規球場』(ともに角川文化振興財団)上梓。
現在、「街」同人、俳人協会会員、三田文学会会員。