朔の本

五味真穂句集『湛ふるもの』

発行:2020年10月20日
序文:宮坂静生
装丁:奥村靫正/TSTJ
装画:山田開生/TSTJ
四六判並製 224頁 2200円(税込)
ISBN:978-4-908978-52-4 C0092


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山懐に抱かれ、自然の中の小さな命の一つとして詠う

句歴30年の作者は好奇心旺盛で生き物好き。ひたむきで骨太な俳句の一方で、社会や自然に対する不安をも詠み込み、自然に身を委ね森羅万象に向き合う。「岳」同人の第一句集。


◆帯文より

枯山の湛ふるものを身の内に  真穂

青春が過ぎた感慨だろうか。生気を沈めた冬枯れの山が身を投げ出すように作者に提供するすべてのものを素直に受け入れようと胸襟をひらく。不安はない。心中の充実感がある。(宮坂静生)


◆宮坂静生選 12句

こがね虫闇は木立の形して
わが棲むは八ヶ岳(やつ)の踝(くるぶし)冬来たる
磯巾着地に戦ひの途切れざる
月光を蓄へて吾は草一本
宙に闇あり蟋蟀の貌出す孔
竹節虫(ななふし)や山より低く軍用機
水鳥についと触れたる鳥心地
早春の岩に囲まれゐる不安
我が息と気づける音やみどりの夜
葭切や吾をからつぽにする時間
人間をはづれてゆきぬ大枯野
霜折や獣のにほひふいに吾に


<著者略歴>
五味真穂(ごみ まほ)
昭和29年、長野県岡谷市生まれ。
昭和52年、信州大学人文学部卒業
昭和63年、「岳」俳句会入会   
平成24年、第十二回ケルン賞受賞
同年、第四回青胡桃賞受賞
平成26年、第五回青胡桃賞受賞
現在、「岳」同人、編集部員、現代俳句協会会員 

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