朔の本
三村純也句集『高天』(たかま)
発行:2024年12月1日
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判上製 220頁
定価:2970円(税込)
ISBN:978-4-908978-20-6 C0092
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詩歌文学館受賞から5年。大学教授と「山茶花」主宰という二足の草鞋から放たれ、いよいよ俳句一筋の道へ。知識と経験に裏打ちされた写生の眼、端正な句姿、時にユーモアもちりばめながら、高まる句ごころを自在に表現した奥行のある一書。平成27年から令和4年までの378句を収める待望の第六句集。
◆帯文より
今日来よと今来よといふ牡丹かな
「高天」は金剛葛城山系の古名。古くは一体の峰とされ、ここが高天原であるという伝承も残る。通勤のたびにその山容を仰ぎ、四季折々に変化する表情に慰められ、詩嚢をふくらませて来た。四十年余りにわたる大学教員生活から解放されたいま、季題と五七五で捉える俳句の世界を、あらゆる方向から、さまざまな表現をもって探っていきたい。(三村純也)
◆自選 15句
二月堂より見下ろしの初景色
春着の子はきはきものを言ひにけり
降りしきる雨の中より初桜
何もせず何も起こらず春の昼
キャンパスに誰が吹きゐるしやぼん玉
筋塀を抜き出で芭蕉巻葉かな
空蝉の目が見据ゑゐる前世かな
さざ波となりつつ蛇の泳ぎ去る
人は失せピアノは残り原爆忌
動脈も静脈もある鶏頭花
ただ立つてゐる子が一人赤い羽根
大盃にぴたりと注がれ新走り
寺田屋の大提灯のしぐれけり
鰭酒に思はせぶりなことを言ふ
大晦日一円玉を拾ひけり
<著者略歴>
三村純也(みむら じゅんや)
昭和28年、大阪船場生まれ。中世国文学・芸能史・民俗学などを専攻。
令和6年3月、大阪芸術大学を最後に約40年に亙る大学教員生活を終える。
中学時代より俳句を始め、「山茶花」入会、下村非文に師事。その後、
清崎敏郎、稲畑汀子の指導を受ける。平成9年、「山茶花」主宰を継承。
句集『常行』で第26回俳人協会新人賞、2019年、句集『一』で第34回詩歌文学館賞。
その他の句集に『Rugby』『蜃気楼』『観自在』がある。
俳人協会評議員、日本伝統俳句協会評議員、虚子記念文学館理事、日本文藝家協会会員、大阪俳句史研究会代表理事、俳文学会会員。