朔の本

浪江啓子句集『旅の靴』

発行:2020年7月15日
装丁:奥村靫正/TSTJ
挿画:著者
四六判並製 208頁
2000円+税
ISBN:978-4-908978-48-7 C0092


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この句集は、
 旅の靴からころげ出た
  小石のようなものかもしれない。

英文雑誌の編集者を経て、モスクワ日本大使館の広報を担い、90年代にはソ連からロシアへ移る混乱期にモスクワで過ごした著者。日常に追われる中でも俳句を詠み続け、「風」誌で沢木欣一の選を受けた中から378句を収録。
生活者として、また旅人としての海外吟に加え、母国日本を見つめる眼差しがあたたかな第一句集。


◆『旅の靴』10句抄

モスクワの浮雲白き四月かな
トラツクの荷は少年兵花林檎
クローバー踏まれ小径となりにけり
リユツク背にたんぽぽの野を神父かな
女らの唄ひ出したり猫柳
春風や手編みのレースかかげ売る
村つなぐ白き道なり凍る川
寒木瓜にカスピ海より朝来たる
旅の靴冷たき小石ころげ出る
十字切る物乞の手に雪の舞ふ


◆俳句に興味を持ち、自分なりにぼちぼち始めたのは、昭和が終りに近い頃の昔。縁のなかった世界へ踏み入ることにおじけていたが、句を作ってみても一人では物足りなくなり、手探りで「風」という結社に加わった。
 以来、沢木欣一、細見綾子という両師に恵まれ、「風」全体の充実した環境にいられたのは幸運だったとしか言いようがない。(中略)この時期はまた、東京とモスクワを交互に居住する期間に重なった。住んでいた土地で、そしてそれ以外の場所でも、句を作り続けていたのだと改めて認識し、この世を去ってしまった方たちや、句を通じて親しく思い出される人々への敬愛の念と感謝を込め、句集にしてみたいと思うようになった。(あとがきより)


<著者略歴>
浪江啓子(なみえけいこ)
1946年東京生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科卒。
ソ連時代のタス通信社東京支局、英文誌編集などを経て、モスクワ日本大使館広報文化センター。
以降、外務本省、ロシア、オランダ、エストニアの日本大使館勤務。
現在オランダ在住。
訳書『何をなすべきか』(N.G. チェルヌイシェフスキー)ほか。
著書『昭和の上野で』。
「風」1987年入会、1991年同人、1996年風賞受賞、2002年終刊。
「りいの」2015年入会、同人。

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