朔の本
笹岡さち江句集『桜の実』
発行:2018年3月1日
栞・帯文:友岡子郷
装丁:永石勝/トリプルオー
四六判ソフトカバー 168頁
2200円(税込)
ISBN:978-4-908978-11-1 C0092
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「遠くて近い人」 友岡子郷
大阪中之島の〈朝日カルチャーセンター〉で月二回の俳句講座を受け持ったのは、二十年ほど前のこと。飴山實の後任だった。
受講者はさまざまだったが、講座が終わるとみなすぐに帰途に着き、しかも入れ替わりも多くて、よほどの人でないかぎりその人たちを覚えていない。
笹岡さち江さんが参加されたのは、十数年も昔のことで、ある時古参の人から「あの人は今、高知から来てる」と教えられ、びっくり仰天した。なぜそんな遠方からと知りたかったが、聞きそびれてしまった。会場が芦屋に移り、私は現住所より少し近くなったが、高齢で足腰がままならず、平成二十九年六月をもってカルチャーを辞退した。その折、高知から通って来られた笹岡さんに句集刊行を促した。
それが結実して笹岡さち江句集『桜の実』の上梓となった。編年体のスタイルで、三章に分かれているが、目立つ変移はない。作者らしい誠実な詠述で一貫している。(『桜の実』栞より)
◆帯文より
「川をこえ家々をこえ冬の虹」
「冬の虹」は、他の季節にはない透明感がある。それもめったに見られない。それの目にするときは、作者の心が清澄なときであろう。
それも川の対岸のかなたに向かってかかっている。その情景は、作者の清らかな憧憬の心をうかがわせる。
(友岡子郷)
◆作品抄10句
門々の呼び合ふごとし迎春花
雪解風煮豆ふつくらもてなさる
遠くなる子の姿追ひ春の雲
停泊の船に朝風桜の実
脱藩の径老鶯の鳴きしきる
鱚釣や夕焼の分かつ海と空
まつすぐの潮目に秋の燕かな
引く波を越ゆる白波七五三
寅彦の家歳晩の黒き梁
古暦遠くに青き空残り
<著者略歴>
昭和27年、高知生まれ。
平成17年、朝日カルチャー友岡子郷講座で俳句を始める。
「白露」を経て「郭公大阪句会」に在籍。