朔の本
田丸千種句集『弄花』(ろうか)
発行:2024年12月8日
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
ディレクション:坩堝
四六判並製 168頁 栞付
定価:2750円(税込)
ISBN:978-4-908978-18-3 C0092
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句集名「弄花」は、唐詩の一節「弄花香満衣」に拠るもので、「この文字通りに季節の中で軽やかに俳句と遊びたい」との思いが込められている。作者は第一句集『ブルーノート』で第5回蕪村賞奨励賞を受賞した実力俳人で、俳誌「花鳥」所属。本書は、2016年から2022年の292句を収める第二句集。
◆自選 15句
トラックの上下で話す麦の出来
文弱の父も逝きたり業平忌
ほうたるの飛んで世話物めける闇
待ち人は来ず炎天に溶けたらし
河口まで来て空蟬となりにけり
おぼろげな祖母に従ひ盆支度
帽軽く上げて別れぬ秋の暮
鳥獣のなかの一つのきりぎりす
対岸は堅田あたりか片時雨
短冊に杞陽の雪のふりはじむ
春の風邪カメオの女俯ける
夜の海を染めてゆくなり涅槃雪
弁天と赤を分け合ひ梅椿
爪先のラメに散らばる春灯
ふらここやさくらさくらの時報鳴る
◆「あとがき」より
句集名は、わが家に時々掛ける軸「弄花香満衣」からとった。軸の言葉は唐詩「春山夜月」の一節からきている。
掬水月在手 水を掬すれば月手にあり
弄花香満衣 花を弄べば香衣に満つ
この文字通りに季節の中で軽やかに俳句と遊びたい。(田丸千種)
<著者略歴>
田丸千種(たまる ちぐさ)
1986 年頃より京極杞陽門の森田昇に俳句の指導を受ける。
1996 年より 「ホトトギス」 所属。2004 年より同人誌 「YUKI」 参加。
2007 年より 「花鳥」 所属。
第26回日本伝統俳句協会賞
第5回蕪村賞奨励賞(『ブルーノート』)
日本伝統俳句協会常務理事