朔の本

句集『ぴったりの箱』書評・記事

『ぴったりの箱』が毎日新聞(2020年8月29日)の「季語刻々」で紹介されました。評者は坪内稔典さんです。

『ぴったりの箱』が神野紗希さんの連載する共同通信発の「俳句月評」で紹介され、
信濃毎日新聞(2020.10.29)ほか各紙に掲載されました。執筆者は神野紗希さんです。

68年生まれ、なつはづきの第一句集「ぴったりの箱」(朔出版)には、既成の物語を丁寧に剥がしてゆく批評性が光る。
少女にも母にもなれずただの夏至
思い出をいくら積み上げても案山子
中古屋に天使の羽がある良夜

女の役割、案山子の郷愁、神への信仰という大きな物語を拒絶した。
ティンパニーどんどん熊ん蜂が来る
狐火が集まるクリームシチューの日

唐突なカタカナ語が予定調和を崩し、一回きりの物語を立ち上げる。(中略)
代替可能な私たちが、それでも今を生きること。そのはかない一回性を詠まんと苦心するとき、現代の切実が宿るのだ。

句集『ぴったりの箱』が河北新報(2021.9.2)「秀句の泉」で紹介されました。
評者は及川真梨子さんです。

鰡(ぼら)は出世魚として有名ですが、よく跳ねる魚としても知られます。そして、恋と気付く瞬間の気持ちの揺れ。鰡と恋心の二つが重なる時、似ている部分はどこでしょう。勢いよく飛び出す感じ、一瞬身をよじり揺らぐ様子、そして今を生きる懸命な力。この揺らぎは、鰡に見つけたものか、恋をする自分の中にあったものか、分けて書かれてはいません。それらは詩の力によって結び付けられ、題材がかけ離れるほど、クローズアップされ際立っていきます。句集『ぴったりの箱』より。(及川真梨子)

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