朔の本
小山正見句集『大花野』
発行:2022年2月25日
帯文:伊勢真一(映画監督)
装丁:奥村靫正/TSTJ
本文DTP:山田開生/TSTJ
挿画:絲りつ
四六判上製 48頁
定価:1650円(税込)
ISBN:978-4-908978-73-9 C0092
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愛する人が病になったとき、何ができるのか――。アルツハイマー型認知症を患う妻と暮らして10年。ありのままの命を見つめ、明滅する心の瞬間をとどめた俳句集。人間の在り方を問う感動の36句。
◆帯より
ここはどこあなたはだあれ大花野
全三十六句、まるで「映画」のようだ。
声が聴こえてくる…
「あなたはだあれ」のささやき声が
大花野一杯に響き渡る。
ほら。
――伊勢真一(映画「妻の病」監督)
◆あとがきより
妻の物忘れが進行しても道に迷うことのないよう、いつも同じ道を歩くように気を付けていた。ところが、道どころか狭い家の中で突然迷子になった。ある時は、本を逆さまに持って読もうとした。洋服の着方がわからなくなった。私は事態の進展に困惑し、為す術がなかった。本書は、そんな私の右往左往の様を綴ったものである。(小山正見)
◆作品抄10句
十二月八日CTスキャンの脳画像
「あなたのは」とばかり訊く妻さくらんぼ
梅雨明けてわたしにできることは何
家中に蟲身体中に蟲蟬時雨
萩咲かせ昔の家に戻しけり
幾重にも鍵を掛けたる良夜かな
冬至風呂パンツもブラも新調し
つい怒鳴る虐待に違いなき暮
二人して枯れた緑を見てをりぬ
春満月道なき道を照らしをり
<著者略歴>
小山正見(おやま まさみ)
昭和23年、神奈川県川崎市生れ。東京都公立学校教員を経て、平成22年、江東区立八名川小学校長を最後に退職。その後、江東区教育委員会俳句教育推進担当として多くの小中学校で俳句教育を推進。
平成23年、「梓」俳句会入会。
平成24年、日本学校俳句研究会設立。
著書に「どの子もできる10分間俳句」「楽しい俳句の授業 アイデア50」(ともに学事出版)などがある。
現在、「梓」俳句会同人、現代俳句協会会員、日本学校俳句研究会代表。