朔の本
新田佐代子句集『残り香』(のこりが)

発行:2026年2月20日
序文:稲畑廣太郎
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判上製クロス装 100頁
私家版
ISBN:978-4-911090-39-8 C0092
早世した夫・新田元庸氏への深い祈りをこめた追悼句集。悲しみを抱えつつも、季節の移ろいに心を寄せ、自己を見つめた俳句からは、再び歩み出す作者の姿が浮かび上がってくる。「HI」発表の英訳句や、思い出の写真も収録。静かな強さと愛が胸に沁みる一冊。「ホトトギス」会員による初句集。
◆帯より
咲けば散る残り香強く桜東風
「残り香」という句集名には、亡き人のぬくもりと香りが日々の暮しに寄り添っているという意味が込められている。季節の移ろいを見つめ、日々の営みの中に夫の気配を感じながら生きる。そこには今なお、ともに歩みを重ね続けるお二人の姿がある。(稲畑廣太郎)
◆あとがきより
人には打ち明けにくい思いも、俳句と季題に託すことで癒され、さまざまな気づきを得ることができました。
今は亡き稲畑汀子先生から、「つらくても、俳句が心に浮かんだら書き留めておきなさい」とおっしゃていただいたお蔭で、ときに俳句になぐさめられ、大切な時間をいまも色褪せず思い出すことができるのだと思います。(新田佐代子)
◆10句抄
稲妻や行かねばならぬ知らせあり
語りたき夫紛れたる星月夜
倖せは平凡な日の煮大根
冬の空押し上げてゐる大欅
散りてなほ風に匂ひて梅の花
ミモザ咲くこの明るさを見習ひて
蜩や力の限り生きてみむ
ひとりでは決められぬこと神の留守
うららかや木魚に合はす鳥のこゑ
表札は亡き夫のまま桐の花
<著者略歴>
新田佐代子(にったさよこ)
1959 年、香川県生まれ。
2013 年頃より俳句をはじめ、ロイヤル俳壇、清交社俳句同好会にて稲畑汀子先生に師事。
2022 年より、清交社俳句同好会にて、稲畑廣太郎先生、本郷桂子先生の指導を受ける。
現在、「ホトトギス」会員、日本伝統俳句協会会員、国際俳句協会会員、
杭全神社・北野天満宮・南宗寺連歌連衆、裏千家准教授(茶名新田宗代)清交社評議員。
