朔の本

猪口布子句集『水入りの小瓶』

発行:2024年5月1日
帯文:片山由美子
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判並製 188頁
定価:2640円(税込)
ISBN:978-4-911090-07-7 C0092


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夏安居(げあんご)の間、仏に懇ろに供える花を摘む夏花摘(げばなつみ)。主役は花なれど、一時的に夏花を挿しておくための小瓶を愛おしむ心に俳味がある。本書を編むことで、過去の色彩が変わったという著者。「狩」「香雨」で学び二十年の作品から328句を収録。片山由美子師による帯文があたたかい。

◆帯文より

冬の夜や母の代りに書く手紙

山形生まれの著者の俳句の背景には、蔵王をはじめとする豊かな自然がある。そこに東京や横浜の都会の風景が重ねられ、俳句と共に過ごしてきた年月は、作者の人生の深まりを示すものでもある。常にひたむきで前に向かって進み続けてきた布子さんの俳句は明るさが魅力だが、このようなしみじみとした作品のあることが句集の奥行となっている。(片山由美子


◆自選12句

万緑を梵鐘の音の抜けられず
茶簞笥に手を入れ春の寒さかな
大切なことは文にて春告鳥
得しものはみな与へたり生身魂
草原の馬と頰ずり風の秋
数珠持てるままに羽子板市の中
射られたるごとくに名乗り初句会
田を渡る蔵王颪や茂吉の忌
夜涼みのふたりで押して乳母車
銀杏散る死者宛のものけふもまた
風除や日の差せば沖輝きて
海を見るための窓あり冬館


<著者略歴>

猪口布子(いのくち のぶこ)
昭和38年 山形県山形市生まれ
平成15年 「狩」入会、鷹羽狩行に師事
平成28年 「狩」同人
平成31年 「狩」終刊に伴い、「香雨」創刊に同人参加 片山由美子に師事
現在 「香雨」同人、俳人協会会員

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