朔の本
吉井たくみ句集『未踏の天』(みとうのてん)

発行:2025年11月2日
序文:岩岡中正
跋文:山田閏子
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判上製・クロス装 232頁
定価:2860円(税込)
ISBN:978-4-911090-37-4 C0092
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村上鬼城評伝『鷹のつらきびしく老いて』で稲畑汀子賞奨励賞を受賞した著者による第一句集。熊本での偶然の出会いから始まった俳句生活は、大きな飛躍を刻む一句一句へと豊かに実を結んだ。自然への鋭い眼差し、土地への深い愛着、旅先での発見、そして人への温かな情が息づく378句。「阿蘇」「初桜」「櫻草」同人。
◆帯より
大野火の未踏の天へ駆け上がる
吉井さんの一回きりの地方勤務が熊本で、私との出会いもまったくの偶然だったが、この出会いは私にとっても僥倖であった。俳句は、その人の人生であり人柄そのものである。明るい曙光のようなものが「未踏の天」の奥に見えてくる。丁寧で爽やかな句集の上梓を心より喜びたいし、これからをさらに期待している。(岩岡中正)
◆跋より
句集には情の深い句、客観写生の句、風土への思いのこもった句などが収められ、多様性に満ちている。情のある句においても、情に溺れることなく、客観性が保たれているのが好もしい。(中略)句集の章立てを飾る季節ごとの刺繍は、奥様がたくみさんのために丹精をこめて繍われた日本刺繍とお聞きした。『未踏の天』は温かい家庭から生まれた温かい句集なのである。(山田閏子)
◆自選12句
ライオンの眼にサバンナの秋夕焼
籾埃咳込む母の小さくなり
悠々と他力を恃み去年今年
待春の操舵に立ちて宜候
毛糸編む妻の肩より暮れかかり
ギャロップの木馬に降れる春の星
冬すみれ今日も小さき旅をして
金剛の冬芽遍く天を指し
春耕の寸土に年を重ねけり
一本の青梅雨となる神田川
咲き初めしあぢさゐはまだ風のいろ
ちつぽけな吾にも流星群の降る
<著者略歴>
吉井たくみ(よしい たくみ)
1960年2月、群馬県高崎市生まれ。農林水産省、内閣府、消費者庁等を経て、
現在、(一社)日本即席食品工業協会専務理事。
2013年より「阿蘇」に入会し、俳句を始める。岩岡中正に師事。
2023年、『鷹のつらきびしく老いて 評伝・村上鬼城』刊。
これにより2024 年、第2回稲畑汀子賞奨励賞(評論部門)受賞。
現在、「阿蘇」「初桜」「櫻草」同人。日本伝統俳句協会理事、俳人協会会員。
