朔の本
三輪初子句集『檸檬のかたち』
発行:2022年7月15日
装丁:奥村靫正/TSTJ
装画:山田開生/TSTJ
四六判並製 190頁
定価:2750円(税込)
ISBN:978-4-908978-78-4 C0092
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〈東京・阿佐ヶ谷の名店「チャンピオン」を営む著者は、ある年突然、閉店を余儀なくされた。喪失感を抱えるなかで思い浮べたのは、切り裂かれる前の清しいレモンの「かたち」だった。「毎日俳句大賞」受賞作を含む 483 句収録の第四句集!
◆帯より
二〇〇七年、夫と共に営んできた生業の居酒屋レストランが、地主の所見から立ち退きを要求され、閉店を余儀なくされた。四十三年間点し続けてきた灯が消える……。自己の存在する「かたち」の倒壊に譬えようのない喪失感を味わい、その儚さがあるものを思い浮かばせた。それは、切り裂かれる前の清しく美しい果実、レモンの「かたち」である。(三輪初子)
◆自選12句
渋滞の師走の車よりイマジン
ゐるはずのなき母のこゑ花筵
戦争の終はらぬ星の星まつり(第22回毎日俳句大賞)
原爆忌玉子かけごはんきらきらす
生き方とみかんの剝き方変へられず
水旨き国に生まれて墓洗ふ
切る前の檸檬のかたち愛しめり
月の道すれ違ふとき悪女めく
もうすこし人間のまま月のまま
チューリップ秘密のいつも漏れてゐし
か行よりさ行やさしきさくらんぼ
首振らず頷いてみよ扇風機
<著者略歴>
三輪初子(みわ はつこ)
1941 年、北海道帯広市生まれ。
1988 年頃より俳句を始める。「童子」「みすゞ」「や」を経て、
1996年「炎環」入会、のち同人。
2016 年、同人誌「わわわ」創刊参加。
2018 年、第 22 回毎日俳句大賞受賞。
句集に『初蝶』(1992年 邑書林)、『喝采』(1997年 光書房)、『火を愛し水を愛して』(2007年 文學の森)、エッセイ集に『あさがや千夜一夜』(2017年 朔出版)。
現在、「炎環」同人、「わわわ」 代表、現代俳句協会会員。