朔の本

井出野浩貴句集『孤島』

発行:2023年5月1日
帯文:西村和子
装丁:奥村靫正/TSTJ
装画:星野絢香/TSTJ
四六判上製 196頁
定価:2860円(税込)
ISBN:978-4-908978-87-6 C0092


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俳人協会新人賞受賞から8年、待望の第二句集!
巻頭句は「しだれ梅くぐらむ深く息吸はむ」。凛とした一の句に始まり、日々を生きる作者の姿が確かな描写で浮かび上がってくる。時間空間を大きく見通し、静かな表現の奥に独創性が漂う一集。

◆帯より

虫の夜の孤島めきたる机かな

宇宙的空想から
共に生きる者たちへの共感まで
幅広い世界へ読み手をいざなう。
鋭敏な五感で生活者の実感を
こまやかに詠じた作品は寡黙だが
季語が多くを語っている。
俳人協会新人賞受賞から八年
人生経験は創作者を鍛えた。(西村和子


◆自選12句

つばめ来る東京いまだ普請中
春燈や微恙の床に唐詩選
花の影とどめて水のとどまらず
くるぶしにかひなに茅花流しかな
祭鱧逢ふときいつも雨もよひ
草笛の鳴るも鳴らぬも捨てらるる
太陽系第三惑星星祭
ルビを振ることに始まる夜学かな
また来てと母に言はれて秋の暮
小春日の龍太の留守を訪ひにけり
あのころは実学蔑し冬木立
湯豆腐や父逝き母逝き戦後逝き


◆あとがきより

八年は生涯の十分の一ほどでしょうか。この間に、父を見送り、母を見送りました。つい最近生まれたような気がする息子は、学校を卒え社会人となりました。私自身の仕事も引き時が近づいています。「時は過ぎてく瞬く間に」と、一九七八年に浜田省吾が歌ったとおりです。(井出野浩貴


<著者略歴>
井出野浩貴(いでの・ひろたか)
1965年 埼玉県生まれ
2007年 「知音」入会
2013年 青炎賞(知音新人賞)受賞
2014年 句集『驢馬つれて』上梓
2015年 第38回俳人協会新人賞受賞・川口市芸術奨励賞受賞
2021年 知音賞受賞
現在  「知音」同人 俳人協会幹事
翻訳書 『ミシシッピ=アメリカを生んだ大河』(ジェームス・M・バーダマン著、講談社)ほか

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