朔の本
筒井慶夏句集『交叉』
発行:2023年9月2日
序文:対馬康子
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判上製 216頁
定価:2750円(税込)
ISBN:978-4-908978-95-1 C0092
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徳島に生まれ、本土復帰間もない沖縄に移住した著者は、紅型筒描き染めの作家として文様の世界に惹かれる一方で、沖縄の季語の実感を大切に作句し続けている。平成22年には毎日俳句大賞受賞。句歴25年の成果を収める「天為」同人の第一句集。
◆帯より
アフリカの夜明けの色にオクラ咲く
有馬朗人先生の「沖縄の良いものを詠みなさい」との言葉を標に、慶夏さんの俳人格は沖縄の風土の中に永遠なるものを見ようと努めることによって形成されていきました。芸術を志す内面性によって描かれた風景は、写生でありながら沖縄という風土を超えて本質を直観する新しいアニミズムを感じさせます。(対馬康子)
◆自選12句
木精(きむじなー)の森に降り積む榕樹の実
着弾の穴うりずんの水溜めて
つちふるや駱駝に瘤のあるかぎり
誰彼の安否を母にえごの花
真つさらな夏蝶の翅雨に発つ
スケッチをする間も芭蕉玉解きぬ
ライオンがゐるかも知れぬ蚊遣焚く
夏休み村の大樹を抱きに行く
慰霊碑へ一木ごとの蝉時雨
海の香と星の香交叉上布織る
新北風(みーにし)や空港に買ふ鳥の本
風なき日おんぶ飛蝗を指に乗せ
◆あとがきより
歳時記の季節と沖縄の季節にはかなりずれがありますが、当地の季語の実感を大切に作句しています。私たちは一刻一刻、何かと交叉しながら生きている。普段、なにげなく見たり感じたりしていることが、ふとした瞬間強く意識され、五七五になる不思議に魅了されています。(筒井慶夏)
<著者略歴>
筒井慶夏(つつい けいか)
昭和22年 徳島県生れ。
昭和49年 沖縄に移住、紅型筒描き染を習う
平成8年 「風花」同人、石田慶子氏に俳句を習う
平成13年 「天為」入会、有馬朗人氏に師事
平成16年 「天為」同人
平成22年 第14回毎日俳句大賞
令和5年 第1回有馬朗人俳句賞優秀賞
現在、「天為」同人、俳人協会会員、国際俳句交流協会会員