朔の本
檜山哲彦句集『光響』
発行:2024年3月25日
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判上製 224頁
定価:2860円(税込)
ISBN:978-4-911090-09-1 C0092
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2023年12月に急逝した「りいの」主宰・檜山哲彦氏の最終句集。晩年、「俳句という灯りがほしい」と語っていた氏は、風、水、光、音・・・見るもの、触れるものを抒情あふれる17音詩へと昇華した。知的好奇心と、言葉への深い信頼をもって詠まれた俳句には、自ずと魂が宿る。411句収録。
◆「詩的なもの」より
子供の頃、手触りをもって感じていた不思議なもの
しゃぼん玉のように浮き漂い
自由に近づき遠ざかり、動き回ってやまないもの
その「詩的なもの」を容れる器
載せる乗物のひとつが「言葉」
その言葉の働きのおもしろさに
惹きつけられてきた。
(中略)
「新鮮」な俳句を読みたい
「新鮮な窓」をあけたい
言語表現の丈の高さで
俳句の隙間がひらけ、詩の窓がひらく (檜山哲彦)
◆作品抄12句
初蝶の開けゆく風の隙間かな
薄氷を踏めばひびかふ天の縁
永き日の飛天の鼓打たず鳴る
風ふるひふるはせ蜘蛛の囲のハープ
白扇を閉づや音なき音一閃
七月や空つつぬけに鉄の肋
雅歌に線引くをいとどに見られたる
角打ちの新酒の淡し能登の塩
腐草蛍となる奔放なる弧線
寝よゆれよ白鳥大いなる卵
寒すばる光ふれあふ音降り来
竜のぼり九天四方澄みわたる
<著者略歴>
檜山哲彦(ひやま てつひこ)
昭和27年 広島生まれ
昭和60年 「風」入会
昭和63年 「風」同人
平成13年 句集『壺天』刊(俳人協会新人賞受賞)
平成14年 「万象」創刊同人
平成21年 「りいの」創刊主宰
平成24年 句集『天響』刊
令和5年 12月30日永眠 瑞宝中綬章受章
「りいの」主宰、俳人協会会員、東京藝術大学音楽学部名誉教授
著訳書『ドイツ名詩選』(共編訳)、『ユダヤ的〈知〉と現代』(共著)、
『ああ、あこがれのローレライ ドイツ詩のなかの愛とエロス』、『ウィーン 多民族文化のフーガ』(共著)など