朔の本

髙橋亘句集『機影の灯』

発行:2023年3月1日
序文:中西夕紀
アートディレクション:奥村靫正/TSTJ
デザイン:石井茄帆/TSTJ
四六判並製 196頁
定価:2200円(税込)
ISBN:978-4-908978-84-5 C0092


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句歴10年。持ち前のバイタリティーで俳句に打ち込んできた著者は、今では「都市」の牽引役として初心者教室を指導している。「孤心」を大切に一人吟行を重ね、緩急自在で鮮やかな切り口が魅力の330句。

◆帯より

プラントの眠らぬ光夜釣船

亘さんはバイタリティーのある一本気な作り手である。この十年余り俳句に集中して打ち込み、あっという間に腕を上げて、今では初心者教室で教えている。
掲句は自宅から近い川崎の工場地帯を描いている。昼夜を問わず何回も通い、四季を通して多方向から工場を描き出し、読ませる作品になっている。句会で一連の工場の句に出会ったとき、私は、「亘さん、俳句に本腰を入れられたな」と思った。(都市主宰 中西夕紀


◆中西夕紀選 12句

年玉や少年の骨太くなり
蝌蚪生るまだ尾の丈のひと泳ぎ
光着て裸の男波を切る
夏の夜の空に製油の水蒸気
睡る子に睡る母の手冷房車
容良く毛虫毛の波足の波
妹にかぶせて深き夏帽子
睡蓮やいつもどこかに鯉の揺れ
踏み切つて背面跳びの秋の空
共白髪言はずもがなのおでんの日
降る雪を舌で捕らふる子供かな
熱燗や今は昔のことばかり


◆あとがきより

今まで何気なく見過ごしてきた景色も、俳句の目で見るようになると、季節の流れとして美しく感じ、また、その見たもの、感じたものを真に表現しようとすると、その難しさの虜にもなった。(髙橋 亘


<著者略歴>
髙橋 亘(たかはし わたる)
昭和17年 静岡県磐田郡袋井町(現、袋井市)生まれ
昭和42年 横浜国立大学工学部卒業
平成24年 「都市」俳句会入会 中西夕紀に師事
平成26年 「都市」イベント部員
平成29年 「都市」同人
令和元年 「都市」川崎句会(初心者句会)講師
令和2年  「都市」青桐努力賞
現在、「都市」同人、俳人協会会員

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