朔の本

平松うさぎ句集『襲』

発行:2022年1月25日
序:能村研三 
跋:森岡正作
装丁:奥村靫正/TSTJ
題字:著者
四六判上製 208頁
定価:2970円(税込)
ISBN:978-4-908978-67-8 C0092


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日本刺繍をはじめ、書道、茶道、工芸、着物などの伝統文化を嗜む著者。日本文化に共通するエッセンスを捉え、俳句という創造世界に映し出す。「沖」実力作家による第一句集!

◆序より

歳月の襲(かさね)にも似て葉鶏頭

葉鶏頭は葉の形が鶏頭に似ていて、枝先の葉は、黄、紅、赤などに色づき重なり合うのが華麗である。「襲」は日本のきものなどで使う言葉で、平安時代にはじまる十二単に見られるように、重ね着による色彩の階調美が襲色目といわれ、衣服美の大きな特徴でもあった。この葉鶏頭の色づくさまを、「歳月の襲」と表現されたのは見事である。(能村研三


◆あとがきより

まだ貸本屋さんがあった頃、図書館と貸本屋を行き来して取りとめもなく小説を読んだ青春時代は遥か遠く、初めての句会では読めない漢字に慌てました。しかし自分の意図したこと以上に、深く想像し鑑賞してくださる皆様に感激し、俳句は人生の経験の全てが無駄にならずに生きてくる世界だと感じました。そして日本文化に係わる習い事が好きで色々と続けてきましたが、それらの一つ一つが季節、季語を第一に考える俳句の世界へと、知らず知らずのうちに導いてくれたのかもしれないと思っております。(平松うさぎ


◆自選10句

秋麗や面の裏には朱のレ点
釣忍風に翠を加へけり
角ありて角のやさしき水羊羹
南南西の風泡立たす花ミモザ
貝寄風や接がれて壺となる破片
追鰹して春愁を断ち切りぬ
空豆の一番端に子供部屋
時代屋の隅にみづいろ金魚玉
桔梗や解いてはならぬ守札
父の日の父似のひたひ検温す 


<著者略歴>
平松うさぎ(ひらまつ うさぎ) 
1953 年 東京都生まれ
2009 年 「沖」入会、能村研三に師事
2010年、2011年 日本手工芸美術展覧会入賞(日本刺繍)
2015 年 「沖」同人
俳人協会会員

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