朔の本
塚本万亀子句集『鸚哥の唄』
発行:2023年6月15日
序文:高野ムツオ
装丁:奥村靫正/TSTJ
装画:星野絢香/TSTJ
四六判セミハード装 174頁
定価:2420円(税込)
ISBN:978-4-908978-88-3 C0092
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文学青年だった息子と生きようと俳句をはじめた著者。亡き人の力を得た言葉は時に強く、時に優しく語りかけてくる。長年ともに暮らしたインコに由来する句集名「鸚哥の唄」は幸せな時間の象徴とも言えよう。「小熊座」同人の第一句集。
◆帯より
海の日や見えざる海に手を合はす
万亀子さんにとって俳句を作ることは、最愛の息子とともに生きることであった。俳句は命のありようを映し出す器なのである。(高野ムツオ)
◆高野ムツオ選 10句
どんどの火闇の上にも闇があり
常のごと春の星生む地震の空
咲くほどに花の無言の語り満つ
猫の子をつひに抱きあぐ下校の子
たちまちに山影迫る秋袷
露寒や鏡のやうな峡の空
遺されしことも忘れて日向ぼこ
鳥籠の空のままなり旱星
はやばやと星のまたたく白露かな
風花の睫に触れて暮れにけり
◆あとがきより
平成二十五年、苦楽を共にした夫も旅立ち、戸籍上、私は一人になった。振り返れば沢山の人々に助けられ、励まされ、導かれて今があり、句集を上梓しようと決心した。句集名『鸚哥の唄』のインコは、娘夫婦が渡仏する際に、夫と私が寂しくないようにと置いていったもので、よく喋り、よく唄い、二十五年も生きた。楽しかった日々の思い出をこめて句集名とした。(塚本万亀子)
<著者略歴>
塚本万亀子(つかもと まきこ)
昭和14年 宮城県登米市生まれ
平成9年 東京神田「ぬかご社」入会、前野雅生主宰に師事
平成12年 ぬかご新人賞受賞
平成20年 ぬかご賞受賞
平成21年 埼玉県狭山市より宮城県仙台市に転居
平成22年 河北カルチャー「これからの俳句」受講
「小熊座」入会、高野ムツオ主宰に師事