朔の本
佐藤みね句集『稲の香』
発行:2022年2月25日
序・帯:高野ムツオ
装丁:奥村靫正/TSTJ
装画:星野絢香/TSTJ
四六判セミハード装 184頁
定価:2420円(税込)
ISBN:978-4-908978-74-6 C0092
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宮城県に在住し、最愛の息子を亡くしたその年、東日本大震災が発生。深い悲しみの中、農に生きる著者にとって稲穂に揺れる白い花は生きる希望そのものだった。この「稲の香」は彼の世にも届くだろうか。魂鎮めの祈りが言葉となり、俳句となる。「小熊座」同人の第二句集。
◆帯より
本集は、亡き子とともに、また家族や友とともに農に生きる作者の五感による、森羅万象との豊かな対話の記録である。
――高野ムツオ
◆あとがきより
稲作が大陸から伝来して以来、日本人はお米を主食にしてきました。『万葉集』や『古今和歌集』にも詠われ、年中行事にも稲作に関わるものがたくさんあります。豊かな水と溢れる太陽の光を受けて、エネルギーを蓄え稔る稲はすばらしいと思います。お米を食べると元気が出て来ます。これからもお米とともに感性を研ぎ澄ませて俳句を作ることができたらうれしい限りです。(佐藤みね)
◆高野ムツオ選 12句
新緑の闇より届く汽笛かな
詩才なき五体ながらも更衣
熊の皮剝がされ湖の澄みにけり
もしかして樹液の音か月涼し
寒星の一つに住みて明日を待つ
夕霞木霊の返事遅くなる
流星や宙のどこかに皺ができ
一粒の花種の上青い空
稲の香の溢れる道を夜勤明け
凍豆腐またたく星と息あわす
砂山のなんども崩れ三月へ
夕焚火みな少年の眼で笑う
<著者略歴>
佐藤みね(さとう みね)
昭和 16 年 宮城県生まれ
平成 13 年 古川あしかび会入会
平成 18 年 「小熊座」入会
平成 21 年 「小熊座」同人
平成 25 年 第一句集『薫風』上梓
現在 「小熊座」同人 現代俳句協会会員 宮城県俳句協会会員 宮城県芸術協会会員