朔の本

田島竹四句集『生きてゐて良かつた』

発行:2023年1月1日
序文:森田純一郎
アートディレクション:奥村靫正/TSTJ
デザイン:山田開生/TSTJ
四六判並製 184頁
定価:2750円(税込)
978-4-908978-85-2 C0092


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阿波野青畝・森田峠・森田純一郎の三代に師事してきた「かつらぎ」同人による白寿記念句集。老いを肯い、生を尊び、平明で清らかな俳心で本格写生を極めた一書。

◆帯より

緋連雀青畝師のこと語るべし  竹四

 これは、先師阿波野青畝の名句「緋連雀一斉に立つてもれもなし」を念頭に置いて詠まれたものに違いない。連雀の尾の先端の赤を捉えた色彩感、中七を字余りにして数の多さを強調し、「もれもなし」と言い切った潔さに竹四さんも惹かれたのであろう。
竹四さんの句は、どれも六十年俳句を作ってきた体に染み込んだ俳人魂が言葉になって表されたものである。どうか、もっともっと我々後進に竹四俳句を見せていただきたい。(かつらぎ主宰 森田純一郎


◆森田純一郎選 12句

写生せよと師よりの声や梅雨の雷
綿虫や妻には見えて我に見えず
濁り酒いぶりがつこがあれば良し
わが句業厳しく問はん翁の忌
熟田津に船出の古歌や月待たん
かたまつて蛍袋の白ばかり
気が付けば寒の墓群に吾一人
時の日や容赦なく減る我が時間
一撃に妻ごきぶりを倒しけり
生きてゐて良かつた三輪の今日の月
翁忌や我が夢もまた枯野へと
もう立てぬ歩けぬ座る仏の座


◆あとがきより

第一句集『立版古』の表紙をめくると阿波野青畝先生にいただいた直筆の序句「竹四本植ゑて望(のぞみ)はとこしなへ」の色紙があり、俳人としてこんな幸せ者はいないのではないかと思ったほどでした。季感を尊ぶ日本人として俳句になじむことにより私の生活は深まり、白寿を迎える今に至っています。(田島竹四


<著者略歴>
田島竹四(たじま ちくし)
大正14年4月19日 京城府に生まれる
昭和38年 かつらぎ入門
昭和50年 かつらぎ同人
昭和59年 句集『立版古』上梓
平成9年  句集『長汀』上梓
平成24年 句集『米寿』上梓

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