朔の本
坊城俊樹句集『壱』
発行:2020年11月11日
装丁:水戸部功
四六判上製セミハード装 224頁 2750円(税込)
ISBN:978-4-908978-56-2 C0092
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「壱」こそが宇宙創成のビッグバンである。
高浜虚子の曽孫にして俳誌「花鳥」を主宰する著者が、「客観写生」「花鳥諷詠」を根底に置きながらも、新たな俳句の有り様を模索する第五句集。
真実と虚構、聖と俗、写生と抽象が鬩ぎ合い、美しい句姿が読者を魅了する。「朴念集」「艶冶集」の2章から成る400句収載。
◆帯文より
狼の夢の中にも星流れ
「壱」 こそが自然数の最初の数。
無から有への出発という感覚。
宇宙創成のビッグバンである。
――坊城俊樹
◆作品抄12句
読初の夜は彗星を栞とし
水鳥の濠に首挿す祈りとも
寒鯉の深く睡りて薔薇色に
蘖にある縄文の記憶かな
蛇穴を出で永遠の真昼へと
父はもうこの夏蝶であらざりし
虚子論も冷し汁粉を食べながら
喧嘩してひとり浮輪で浮いてをり
壱岐國のみしりともせず夏怒濤
零戦といふ炎帝のやうなもの
水よりも静かな海の夜の秋
コスモスを咲かせ花街の隅に住む
<著者略歴>
坊城俊樹(ぼうじょう としき)
昭和32年東京都生。祖父の高濱年尾のもとで俳句を始める。日本伝統俳句協会新人賞受賞。
俳誌「花鳥」主宰、日本伝統俳句協会理事、日本文藝家協会会員。
南日本新聞俳壇選者、国民文化祭選者。
句集に『零』『あめふらし』(ともに日本伝統俳句協会)、『日月星辰』『坊城俊樹句集』(ともに飯塚書店)、著書に『切り捨て御免』(朝日新聞社)、『丑三つの厨のバナナ曲るなり』(リヨン社)、『空飛ぶ俳句教室』(飯塚書店)、共著に『俳句川柳短歌の教科書』(つちや書店)などがある。