朔の本

織田春美句集『初音』

発行:2019年6月5日
帯・序文:友岡子郷
装丁:奥村靫正/TSTJ
四六判上製 2750円(税込)
ISBN:978-4-908978-23-4 C0092


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「五・七・五への愛着」 友岡子郷

織田さんの作品を拝読しながら私が感じ入ったのは、五七五の俳句表現の基本に忠実な気づかいを怠らないことであった。これは終始一貫している。むろん詠みとった対象は多様多彩で、そこへ目を向ければ、好奇心豊かで、好悪の情趣にも富んでいる。着眼点にも秀れたところが多い。(中略)
織田春美さんと私は一歳違いの同門。「古人の求めたるところを求めよ」という空海の難しい諭しを思い出す。共にそれを心に刻んで、励まし合いたいと願っている。(序より)


◆帯文より

 靄晴るる賤ヶ岳より初音かな

「霧晴るる賤ヶ岳」としても読んですぐ意味が分かる。しかし、平明。作者は「霧晴るる」とはせず、「靄晴るる」と改め、賤ヶ岳の戦いをふまえた史実の興趣に心を誘った。一字の妙。友岡子郷


◆自選10句

林檣にまぶしき寒の波あかり
白南風や棟梁のこゑ梁の上
祭笛潮さして来る船だまり
尉面の一彫りごとに秋深む
うららかや船通るたび生簀ゆれ
鉱山(かなやま)に刻みし佛笹子鳴く
締め直す馬の腹帯風光る
鐘ひとつ撞いて近江の初ざくら
終刊の一報雉子の遠音あり
かたつむり大和三山はるかにす


<著者略歴>
織田春美(おりた はるみ)
1933年、兵庫県生まれ。
1977年「雲母」入会。「雲母」終刊ののち1993年「白露」創刊、2008年「白露」同人。「白露」終刊ののち、2013年「郭公」創刊同人。

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