朔の本

星野佐紀句集『不東』(ふとう)

発行:2025年12月5日
序文:中西夕紀
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判上製クロス装 196頁 
定価:2860円(税込)
ISBN:978-4-911090-36-7 C0092


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ゆかりある奈良の地を仲間と歩き、船ではひとり世界を旅する。折々の四季を通して後半生を見つめる静かな眼差しが魅力の一集。中西夕紀氏は、「真正面から真面目に取り組むというのが佐紀さん流」と述べ、その確かな写生力と自然体の句風を称える。強さと繊細さが呼応して余韻を生み出す、「都市」同人会長の初句集。

◆帯より

玄奘の不東思へば指冴ゆる

いつも真正面から真面目に取り組むというのが佐紀さん流である。亡きご主人との思い出、船旅のうれしさ、奈良での歴史散歩、そして後半生の暮らしを堂々と詠う句の数々は、人生の深みと輝きを映している。待望の一冊が纏まったことを心からうれしく思う。(中西夕紀


◆あとがきより

亡き夫が教えてくれたクルージングの喜びを今一度と、ひとりで何度か海外航路に参加した。はじめはただ船室のベランダに出て海を眺めるだけの日々だったが、各地で四季折々の景に出合い、俳句を通して旅の時間がより豊かなものとなった。
中西主宰とのご縁があったからこそ、句集『不東』を亡き夫へ届けることができるのだと感謝の気持ちでいっぱいである。(星野佐紀


◆中西夕紀選12句

春寒やひかりの中を黄鶺鴒
下闇や一歩一歩を風とゆき
甲板(デッキ)暑し十五ノットの太き水脈
ひとりにはまぶしき夕日零余子飯
落葉焚夕日を腹に鳶高し
切切と母を説く子や松の芯
はじめての海は父の背雲の峰
ターンするプールの底に日の斑ゆれ
長き夜や目ざめては読む子の便り
独り居の鍵探しゐて蚯蚓鳴く
亡き夫を子と語る旅冬銀河
雨粒は白銀となり柳散る


<著者略歴>

星野佐紀(ほしの さき)
昭和16年東京都生まれ
平成18年玉川大学継続学習センターで中西夕紀の「俳句講座」を受講
平成20年「都市」創刊に伴い入会、中西夕紀に師事
平成26年「都市」同人
令和2年「都市」第二代同人会長、現在に至る
令和4年第5回「都市」青桐賞(同人賞)受賞
俳人協会会員

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