朔の本

鎌倉道彦句集『伏流水』(ふくりゅうすい)

発行:2024年10月17日
序文:高野ムツオ
装丁:奥村靫正/TSTJ
装画:佐々木 和
四六判並製 220頁
定価:2420円(税込)
ISBN:978-4-908978-64-7 C0092


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約20年間、高校生たちを俳句甲子園に引率している著者は岩手県の元高校教諭。ひたむきな生徒らに刺激を受け、自らも本気で俳句に取り組みはじめた矢先、東日本大震災が起きた。悲惨な現実を生徒とともに乗り越え、立ち止まることなく詠み続けてきた376句を収録。「小熊座」同人の第一句集。

◆帯文より

みちのくのものみな眩し雪解水

鎌倉道彦の俳句には、辺土として長く忍従を強いられてきた陸奥を問う詩人としての、柔和温厚でありながらも剛毅果断な詩魂が湛えられている。(高野ムツオ


◆高野ムツオ選 12句

みちのくの春がスプーンに乗っている
流氷はまず眼裏に寄せて来る
蝦夷の子蛍のごとき息をして
蕎麦の花祖母の涙の数ほどに
バウムクーヘンにフォーク銀河に塵
霧を突きぬめりと牛の舌が出る
貞任の夢や浮草にも雨滴
なにゃどやらなされて恋あり月上る
阿弖流為の憤怒や暮れてより霙
馬橇来る剝き出しの歯の馬が来る
春泥を掘る搔く飛ばす豚の鼻
福寿草伏流水を聴きながら


◆「あとがき」より

きっかけは、数学の課題ノートの余白にある落書きからだった。その落書きにあった言葉の欠片が面白くて、感想を書いて返却すると、さらに新しい言葉が書き込まれて提出された。生々しい矢のような言葉。鋭い感性の詩句。苦悩から零れる呟き。どれもが新鮮で心を揺さぶる魅力に溢れていた。(鎌倉道彦


<著者略歴>

鎌倉道彦(かまくら みちひこ)
昭和22年、岩手県二戸郡生まれ。
昭和45 年 宮城県の高校教師として石巻市に赴任し、二年後、岩手県に異動。
平成8年頃より、生徒の短歌・俳句を、東洋大学現代学生百人一首・神奈川大学
全国高校生俳句大賞等に応募しはじめ、平成17 年より、岩手県立水沢高等学校・
水沢商業高等学校を俳句甲子園に引率。
退職後も水沢高校・水沢商業高校の講師を勤める。
平成22 年、「小熊座」(高野ムツオ主宰)入会。平成25 年「小熊座」同人。
現在、水沢高校短詩部を指導。現代俳句協会会員。

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