朔の本

三石知左子句集『小さきもの』

発行:2024年3月1日
序文:西村和子
帯文:行方克巳
装画:中谷ミチコ
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判上製 204頁
定価:2750円(税込)
ISBN:978-4-911090-06-0 C0092


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東京かつしか赤十字母子医療センター院長で小児科医の三石知左子氏による初句集。力強く生を肯定し、小さな命と向き合う著者は、「小児科医は希望と未来ある宝物を託された職業」と語る。やさしい眼差しを重ねる多忙な日常に、自己の輪郭を鮮やかに切り取った340句。「知音」同人。

◆序より

働く女性の句集として読みごたえを感じるのは、仕事に関わる句ばかりでなく、人生の今だから詠める句が多くを語っているからだろう。
働き盛りの医師が、日常のあるがままを句に詠み、震災や疫病を乗り越えて詩ごころを持ち続け、現役のうちに句集の形に成し得たことは意義深い。(西村和子


◆帯より

産声をあげよ今宵は良夜なる

医学が大きく進んでいる現代でさえ、
出産は女性にとって命懸けであることに変わりない。

まさに満月の夜、さあ
呱々の声を聞かせておくれ――

それは生まれてくる新しい命への賛歌であり、
かつ作者の天職への強い自恃の表白でもあるだろう。(行方克巳) 


◆行方克巳選12句

桜散るストレッチャーの子供にも
母の日やねぎらふよりもいたはられ
学会といふ暇得て十二月
青臭く薬臭くて鬼灯市
産声をあげよ今宵は良夜なる
秋の雲人智及ばぬことばかり
煮凝掬へず人間も救へない
鉛筆のやうに箱詰アスパラガス
十代の白シャツ無防備無鉄砲
不器用な彼に剥かせて梨甘し
翅畳むからくり不思議天道虫
風光る新病院の大玻璃戸


<著者略歴>
三石知左子(みついし ちさこ)
1955年 札幌市生まれ
1982年 札幌医科大学卒業、東京女子医科大学小児科入局
1986年 同大学母子総合医療センター配転
1999年 葛飾赤十字産院副院長
2006年 同産院院長
2009年 「知音」入会
2014年 「知音」同人
2021年 病院名改称し「東京かつしか赤十字母子医療センター」院長
医学博士、小児科専門医 、俳人協会会員
共著書『35歳からの”おおらか”妊娠・出産』(亜紀書房)
講演録『地域で母子を支える~周産期医療の現場から~』(NPOブックスタート)

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