朔の本
川島由紀子句集『アガパンサスの朝』
発行:2024年10月23日
帯文:坪内稔典
装丁:奥村靫正・星野絢香/TSTJ
四六判並製 180頁
定価:2200円(税込)
ISBN:978-4-908978-21-3 C0092
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坪内稔典氏が推す俊敏な「行動力」と、詩情を生む「取り合わせ」が魅力の川島由紀子さんは、変幻自在な表現者である。本書には「船団」の散在を境に、その前後の作品434句を収録。前作『スモークツリー』から14年、「びわこ句会」代表の第二句集。
◆帯文より
秋の窓開けて夕焼けクラブ員
「夕焼けクラブ」があったらボクも入会したい。「川島さん、夕焼けクラブを作ろうか」と言えば彼女はすぐに行動に移るだろう。その行動力が彼女の魅力である。そしてその行動力は、句づくりにおいても発揮されている。この句集の作品の基調をなす多彩な「取り合わせ」がそれだ。(坪内稔典)
◆自選 15句
初喧嘩グラスをひとつ割るくらい
触れてみるロダンの像と草の芽と
かたくりの咲いて暗がり柔らかく
磯巾着ひらく弱味をみせながら
桜咲きそう口内炎できそう
ジャングルジム虞美人草の明日は明日
新しい朝の雨音アガパンサス
雑巾をぎゅぎゅっとしぼる原爆忌
水遣りのホースさすらう夏の夕
寄り道はちょっと痛くて金木犀
梨嚙んで雲の手紙を読んでいる
絶望をくるむセーター湖晴れる
白鳥が来る日の帽子ありますか
マフラーを闇に投げれば火の匂い
口論のふっと蜜柑の匂いする
◆「あとがき」より
今ちょうどテレビの画面に、パリオリンピック2024の開会式の様子が流れています。セーヌ川の波の上の舞台では、炎に包まれたピアノの伴奏でジョン・レノンとオノ・ヨーコさん共作の「イマジン」が流れてきました。(中略)国と国との戦争も人と人との諍いも、一向に無くなりそうもない現実にあっても、新しい朝の雨音と共に咲くアガパンサスの希望を、忘れないでいたいと思います。(川島由紀子)
<著者略歴>
川島由紀子(かわしま ゆきこ)
1952 年、東京生まれ。1987年より作句開始。
2002年、俳句グループ「MICOAISA」結成、俳句とエッセイ集「MICOAISA」
編集(2017年まで隔年発行)。2004年、「船団の会」(坪内稔典代表) 入会。
2010年、第一句集『スモークツリー』により第60回滋賀県文学祭文芸出版賞受賞。
2013年、 「びわこ句会」発足、代表。2019年、『阿波野青畝への旅』刊。
現在、「窓の会」常連、「びわこ句会」代表。