朔の本

句集『陶冶』書評・記事

句集『陶冶』が2月23日の朝日新聞「俳句時評」欄で紹介されました。
執筆者は愛媛大学准教授の青木亮人さんです。

 昼顔や浅間の煙とこしなへ  花蓑

「ホトトギス」昭和初期の句で、伊藤敬子著『鈴木花蓑の百句』(ふらんす堂、2月)は次のように説く。「足元に咲く小さな昼顔の花、前へ目をやれば煙を吹き出している浅間山の勇壮な姿」。夏の青空の下、永遠(「とこしなへ」)のように白煙を吐く赤茶けた浅間山と、淡紅に染まる白色の昼顔の可憐さが共鳴しつつ暑気を彩る句だ。この花蓑句は、後に「ホトトギス」の山口青邨が中国を訪れた際の著名句に示唆を与えたかに感じられる。

 その浅間山近くの榛名山麓、伊香保温泉に暮らす木暮陶句郎は俳句と陶芸に勤しみ、第二句集『陶冶』(朔出版、2月)を上梓した。「俳句があるから人生が本当に楽しい」(あとがき)と綴る彼は、次のような句を詠んでいる。

 美しき噓の溶け込む花の酒

 夜桜が雪のように散りまがう下での花見酒は嘘も美しく、人生はそれゆえ華やぎ、朧の夜闇は濃さを増すのだった。

 (中略)

 青邨は堤防から長江を眺めると海のように広く、水は濁り、滔々たる流れに畏怖の念を抱いたという。彼の足元には春の花が咲いている。大河の悠久の響きに震えながらも小さく、無数に咲く蒲公英だった。

 たんぽゝや長江濁るとこしなへ  青邨​

句集『陶冶』が2月28日の毎日新聞・群馬面で紹介されました。

毎日新聞群馬面「文園俳句」の選者で、伊香保焼を主宰する陶芸家でもある木暮陶句郎さんが16年ぶりとなる句集『陶冶』を刊行した。陶器を作り上げることから転じ、人を形作っていくことを意味するタイトルに思いを込め、自らの俳人としての歩みを振り返っている。

最初の句集『陶然』刊行後から、主宰する「ひろそ火」を創刊するまでの8年間に作った俳句の中から331句を収録した。「あらたまの年の陶土を積み上ぐる」「窯火燃ゆ汗の一粒一粒に」など、四季の移ろいと重ねながら木暮さんのもう一面である陶芸を詠んだ句も多い。

装丁にもこだわり、表紙には自ら焼き上げた陶芸作品を大きく写した写真を使用。色彩美への木暮さんの鋭い目をうかがわせる作りになっている。「陶芸は火の中で人知を超えた力でできる作品。俳句も同じで、さまざまなものとの出会いによって句ができます。句集はさまざまな人と出会い、『ひろそ火』ができるまでの17音の結集です」と話している。(庄司哲也)

句集『陶冶』が3月3日の上毛新聞・文化欄で紹介されました。

句集『陶冶』が3月29日の東京新聞「句の本」で紹介されました。

木暮陶句郎句集『陶冶』が3月29日の東京新聞「句の本」で紹介されました。

群馬県渋川市在住の陶芸家で、俳誌「ひろそ火」主宰の著者の第二句集。二〇〇三~一一年の二百三十一句を収録した。
〈あらたまの年の陶土を積み上ぐる〉〈窯火燃ゆ汗の一粒一粒に〉。

句集『陶冶』が3月3日の上毛新聞・文化欄で紹介されました。

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