朔の本

句集『九月の明るい坂』書評・記事

『九月の明るい坂』が毎日新聞(2020年9月12日・14日)の「季語刻々」で紹介されました。
執筆は坪内稔典さんです。


『九月の明るい坂』が東京新聞(2020年9月19日)の「福田若之のここに句がある」で紹介されました。

『九月の明るい坂』がしんぶん赤旗(2020.10.28)の「俳句時評」で紹介されました。
評者は神野紗希さんです。

花鳥の世界に遊ぶのも俳句なら、人間の俗世にどっぷり浸かるのも俳句だ。今秋刊行の、今井聖(1950年生)の第4句集『九月の明るい坂』(朔出版)には、さながら戯曲のように人間模様が切り取られている。
皆で呼ぶ雪の校庭にゐるひとり
異議ありの挙手冬帽を摑みしまま
夕立のパチンコ店に父の傘

とある日、とある場所の印象的な瞬間が、郷愁とともに鮮やかに立ち上がる。
ドラマをベタにしないために、今井は細部にこだわる。〈投擲の奇声や鰯雲真赤〉、「奇声」により投擲の瞬間に絞られ、さらに本来は白い鰯雲を真赤と言い夕暮を演出。〈露草に膝突いて診る馬の肢〉〈検問の灯を振る春の岬かな〉、獣医や警察も「膝突いて」「振る」の動作でリアルに見せた。〈風船も入れて駝鳥の卵撮る〉の風船や〈蛇の衣青鉛筆で持ち上げて〉の青鉛筆の偶然性も、現実感を下支えする。
あとがきで今井は「目に見ることのできるナマの「現実」を起点とする」子規の写生に「今」と「私」を浸透させたいと語る。「今」とは瞬間性、「私」とは個別性の喩だろう。
(中略)人との接点が希薄なコロナ禍、人間の個別の生に迫った俳句の体温が、心に灯を点す。

『九月の明るい坂』が毎日新聞(2020年11月5日)の「季語刻々」で紹介されました。
執筆は坪内稔典さんです。

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